2004年07月24日(土)
2004年07月24日の日記 [宇宙の底(旧サイトの日記)]
『博士の愛した数式【リンク】』(小川洋子 著)読了。小説なのに,妙に数学しているちょっと変わった本です。事故の後遺症で80分しか記憶を保持できない“博士”を中心に,家政婦とその息子(博士からルートと呼ばれている)の3人の心の交流を描いた,ある意味地味な作品だけど,静けさと優しさに溢れていて,不思議と心打たれるものがありました。僕の琴線に触れるストーリー展開に,「今まで保たれていた平安・秩序・幸福が,ある時を境に急速に崩れていく(変わっていく)」というのがあるんだけど,まさにそのラインに沿った作品でした。若干,伏線の消化不良なところはあるものの,個人的には,今年読んだ本の中で一番でしたね。こういうハナシを,僕もいつか書いてみたいな。
Posted by 神海 螢 / コウミ ケイ at 2004年07月24日(土) 21時00分 コメント ( 0 )