2007年11月18日(日)
風前の灯火なブルトレ [鉄な話題]
- 消えゆく東京駅発ブルトレ 「銀河」来春に引退(asahi.com)
JR各社からはまだ正式発表されていないものの,アサヒコムの記事によれば,寝台列車(ブルートレイン)の銀河・なは・あかつきが来春廃止されるとのこと。2005年にあさかぜ・さくら・彗星が立て続けに廃止となり,九州方面のブルトレは東京発の富士・はやぶさと大阪発のなは・あかつきだけに減らされてしまったため当面これ以上の廃止はないだろうと踏んでいたものの,現実はそう甘くはなかったようで…。確かに18時間もかけて東京から九州に向かうブルトレにスピード面での競争力がないのは分かるものの,(狭いながらも)フルフラットのベッドで寝ながら移動できることもあって,旅人にとっては欠かせない移動手段だったのだけどなぁ。設備の老朽化に加え高速バスと比較するとかなり割高な(硬直化した)運賃体系もブルトレ退潮の一因だと思うけど,安いか速いかにしか価値を見いださなくなってきている世情の変化も影響しているだろうね。また,民営化から20年も経つとJR各社もかなり社風が変わり,グループ間での連携が取りづらくなってきているのかも(JR会社間を越える普通列車の直通運転も減ってきているようだし)。ただ,トワイライトエクスプレスやカシオペアなどの豪華寝台列車は言うに及ばず,サンライズ出雲・瀬戸などの比較的新しい寝台列車がそれなりに成功を収めているのを見ると,九州方面のブルトレがビジネス的に全く成り立たないとは思わないけどね。どこもここも今は新幹線に“お忙しい”ようなので,今更新車を作ってまでブルトレ復権を目指す気概(も予算も)ないとは思うけど,もし寝台列車という移動手段を旅情とかノスタルジーとかいう次元にとどまらずに文化として残したいのであれば,例えば次のような手を打たないといけないでしょう。
- アコモデーションの改善……多くのブルトレが1970年代の車内設備のまま今日を迎えており,老朽化や古くささが否めない。そこで,新車を作る余裕がないのであれば代わりに徹底的にリフォームする。今どき常時手でひねらなければ水の出ない洗面台はないですよ(^ ^;)
- 運賃値下げ……乗車券+特急券(“銀河”は急行券)に加え,5千円以上する寝台券が必要な今のブルトレはトータルで見ると割高。ヘタすると,高速バスの2〜3倍高くなることも。最低でも新幹線並(かそれ以下)に抑えるようにしないと乗りたくても乗れないね。正規運賃の値下げか難しいようであれば,家族割引や早期予約割引などの制度を充実させるべき
- 乗りやすいダイヤの構築……23時に出て翌朝7時過ぎに大阪へ着く“銀河”はともかく,九州方面ブルトレは東京18時発朝10時〜正午着の運用なのでビジネスマンはなかなか使えないね。下でも書くけど,ここは新車を入れてスピードアップを計り,せめて19時以降発8時過ぎには目的地着とする。もっとも表定速度100kmで走破しても東京〜熊本間は13時間強かかるので,難しいのは承知の上でだけど(^ ^;)。これに関しては所要時間短縮のため最サイアク博多止めになっても仕方ないでしょうな
- 積極的な宣伝活動……新幹線だとバンバンCMを流しウルサイぐらいにアピールするものの,寝台列車に至っては「まだ走ってたんだ」と言われるぐらい,なーんにも宣伝していませんね。今の若い人(ってまだワタシも若い…と思いたい^ ^;;)の中にはブルトレの存在自体知らない人もいるんじゃないかな。サービスは周知されてナンボですよ〜
- 他の交通手段にはない要素を積極的に付加……バスや飛行機に比べると列車には車内空間に余裕があるため,単なる移動手段以上の要素を積極的に付加し活用する。例えば,合理化の一環で食堂車が(一部の豪華寝台列車を除き)無くなってしまって久しいけど,まともなメシの食える食堂車をぜひ復活してほしい! またシャワー室や売店(コンビニ)なども完備し,PC用コンセントや無線LANなどのビジネス支援環境も充実してくれるとなおヨシ
- できれば新車導入……“トワイライト〜”のように既存車両のリフォームでも車内設備はよくなるけど,根本的な改善には新車導入が一番。個人的には機関車が客車を引っ張るいまのブルトレ方式にはこだわらないので,“サンライズ〜”のような電車型の寝台列車が運用しやすいのであれば,思い切って導入する。九州に乗り入れる場合,交直流対応で車両価格が高くなると思うけど,21世紀仕様の寝台列車をぜひ(もちろん水戸岡デザインで)!
- 九州方面のブルトレも高級路線で……他の交通手段にはかなわないということであれば,高級路線に徹するのも手。“トワイライト”や“カシオペア”のように乗ること自体が目的になれば所要時間も問題ではない(むしろ長い方がいいぐらい)ので,徹底的にゴージャスにする。食堂車も要予約ディナー1万円からといった具合に,ね。南に向かうので,例えば“寝台特急サザンクロス”というのはいかがでしょうか?!
- せめて季節列車として残す……こういうのは一度無くなると復活するのが難しいので,閑散期と繁忙期の乗客の差が大きいのであれば,せめて盆と正月だけでも季節列車として運行する。プラス週末も運行だとなお○
こんなニュースが報じられるとは知らずに,週末大阪から偶然“はやぶさ”に乗って福岡の実家に帰ったので,思わず長めの記事を書いてしまいました。こんなことならば僕自身ももっと乗っておくべきだったなぁ,とやや後悔(それでもこれまで10回近く乗ってきたけどね)。まぁ,どおせ最後の1ヵ月は満席なのでせうにゃ。あーあ(^ ^;)。
おまけ:寝台特急はやぶさの写真(上段:下関駅/下段:博多駅)
おまけ2:寝台特急はやぶさ・富士号の動画(2008年5月11日追加)
Posted by 神海 螢 / コウミ ケイ at 2007年11月18日(日) 20時08分 コメント ( 2 )
コメント
うわー、また寝台列車がなくなっちゃうのですか。。。
俺も小さい頃何回か寝台列車に乗った事あるけど、あのワクワク感は今でも覚えてるよ〜。それがなくなっちゃうなんて悲しいよね…。
やっぱ神海氏の言うように、高級路線とかニッチで生き残っていくしかないのかもねぇ。
コンパートメントが6畳の和室になってる「自宅寝台」とか、全車両がマンガ喫茶になってる「マンガ寝台」とかサw
コメントありがとう!
そう,寝台列車には単なる移動手段を越えたワクワク感があるよね。それはある種の文化のようにも思えるので,効率だけを求めてこのままフェードアウトさせてしまうのは惜しく思われます。
和室じゃないけどカーペットに雑魚寝するタイプの車両は,“ゴロンとシート”“ノビノビ座席”という名前で一部の寝台列車についていたりします(フェリーの二等みたいな感じ)。でも,さすがにマンガ寝台はないなぁ〜(^ ^)。こんな風に切り口を変えればいくらでもアイデアがでるのにねぇ。